新年のごあいさつ

新年あけましておめでとうございます。

さて、昨年は、アメリカ合衆国で初の黒人大統領が誕生するという歴史的な出来事がありました。

就任してから1年にも満たないオバマ大統領ですが、核のない世界を目指し、国際平和や環境問題などの難題にも、様々な国や機関と協調しながら取り組む姿勢が評され、ノーベル平和賞を受賞したことが、世界中で話題になりました。また、オバマ大統領は「今こそ、私たち全員が、グローバルな課題に対してグローバルな対応をとる責任を分かち合うべき時だ」と呼びかけており、各国の相互理解と交流の重要性を再認識させられる出来事でもありましたね。

ところで、世界の国々と様々な交流を図る手段の一つとして、最先端の技術を介するものといえば万国博覧会ですが、2005年に愛知県で開催された「愛・地球博」は皆さんの記憶にも新しいと思います。今年は、お隣の中国で、5月1日から「上海万国博覧会」が開幕します。

万国博覧会は、今から150年以上前の1851年にイギリスでスタートしました。エジソンの蓄音機や、フランスを象徴する建造物であるエッフェル塔、1970年の大阪万博では月の石が展示されるなど、それぞれの時代で、人々の心に残る印象的な技術や物が次々と発表されてきました。

今年の「上海万国博覧会」に向けて、日本は「日本産業館」という施設を建設しており、日本を紹介するための展示等のほか、日本企業の出展が予定されています。この施設のコンセプトは「歴史を創る」だそうですが、「歴史を創る」施設とは一体どのようなものなのでしょうか?

答えとなるキーワードの1つが「リユース(再利用)」です。

この「日本産業館」は、巨大な産業遺跡である古い工場(旧江南造船所跡)を再利用して建設されることになりました。新築に比べて、約5,000トンもの二酸化炭素を抑えることができるので、環境問題に取り組む日本をアピールすることにもなります。

少年少女発明クラブの皆さんも、この一年、創意工夫の観点から環境問題やリユースなど視野を広く持ち、自分なりの目標と責任を持って行動していただきたいと思います。皆さんのような若い世代の方々がグローバルな視点と柔軟な想像力を身につけることは大変有意義であり、是非クラブでの活動を通して、これまで培った豊かな創造力と確かな技術力を更に伸ばし、我が国ひいては世界の未来を逞しく支えていって頂きたいと願っております。

この一年が飛躍の年になることを期待して、新年のご挨拶といたします。

社団法人 発明協会
会長 豊田 章一郎

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